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うえののそこから「はじまり、はじまり」 荒木珠奈 展 東京都美術館

マティス展と合わせて、観覧しました。


うえののそこから「はじまり、はじまり」

荒木珠奈展


東京都出身。メキシコ留学時代に版画の技法に出会い、90年代から、版画、立体、インスタレーションなど幅広い表現の作品を発表。ワークショップを通じて、こどもやメキシコの先住民などさまざまな人々と共同で作品制作も行う。現在はニューヨークを拠点に、自身のペースで活動を続けている。



今回の展示で好きな作品紹介します。

「へんてこなかわいらしさとゾクッとする感覚が混ざり合った世界観」

と言われる、荒木さんの作品、どのようなものがあるのでしょうか。


メキシコといえばガイコツ

様々な絵が展示されていました。



《Caos poetico (詩的な混沌)》


体験型の作品です。

カラフルな照明(灯籠のような)を自分で空いているプラグにさせるようになっています。

メキシコでは、電気泥棒が多いようです。

人口が爆発的に増え続けるメキシコ。

貧困から抜け出せない人は多いです。

電柱から電気をとって、家の中に光を灯しています。

貧困層の暮らしを負のイメージとして捉えるのではなく、明るく、芸術的で、逞しい生活が伺える作品です。


私は、最近日本を超えた世界のことを知りたいと言う気持ちになっています。

メキシコに住んでそこから着想を得て作られた作品。

メキシコに住む人々の暮らしを、優しい気持ちで、形にしているなと思いました。





《うち》


幼い頃に住んでいた団地がモチーフだとか。

こちらも参加型の作品です。

一つ一つの扉に鍵が付いており、1本の鍵を選んで、同じ番号の扉を探して開けます。

それぞれの家の中には光が灯っており、一つずつ違う絵が貼られています。

初めてこの作品を公開した時は、それぞれの鍵を郵送したとか。

会期中に7割もの扉が開けられたそうです。



《記憶のそこ》のためのドローイング


今回の展覧会のために作られた作品。

何とも言葉では表現しきれない、空間体験。

木の根のような巨大なオブジェ。

東京都美術館の地下3階と言う場所から出発する大きな植物のような何か。

不思議な気分にさせられます。

上野という街は、文学、芸術、様々な歴史があります。

たくさんの木や花が咲き乱れる中(作品として世に残る)見られていない隠された地下に眠るような大きな才能や作品もおそらくあるのだろうなと想像しました。



≪見えない≫


東日本大震災がテーマの作品

大きく黒く重くドーンとした作品



絵本の挿絵の原画

絵本「NeNe Sol-末っ子の太陽-」刊行のお知らせ | 武蔵野美術大学


フクロウが描かれているから思わず写真を撮ってしまった。



美術館に行くと、こう言う新しい出会いがあり、めちゃくちゃ楽しい。

今までの私なら、作者を知らないし良いやって、見なかったと思う。

こういう出会いを大切に拾って記憶していこうと思う。