slowly life 〜読書、美術館巡り、ワイン、コーヒー〜

気ままに日頃考えていることを文章にまとめるブログ。

Quiet 内向型人間の時代 スーザン・ケイン




The power of introverts | Susan Cain | TED


TEDにも出ているスーザン・ケイン

「Quiet」

2013年に刊行、このトークは2012年のものだろうか。

7年もかけて本書を書き上げているという。

自分は内向的かもしれないと思った人におすすめの本だ。


そもそも内向型って??

カール・ユングの理論。

内向型は内向的で、自己探求や内面の世界に関心を持ち、内省的である傾向にある。

一方、外向型は外向的で、社交的で行動的であり、外部の刺激に対する関心が高い。


この定義を読んで、うーん?どっちにも当てはまるところあるなぁって思った。

基本的に完全な内向型・外向型な人はいないという。


完璧な外交型も完璧な内向型も存在しない。

そういう人間がいるとしたら精神病院だろう。

ユング


どちらの傾向が強いかを一度本書の質問内容に答えて考える必要がある。


本書で注目したいのは

この世は基本的に外向型人間に有利な社会である。

という点。

内向的な人にとっては絶望的に思える。

しかし、世の中の外向型人間の中には「外向型の仮面をかぶってる内向型人間」もいる。

私自身、後天的に外交型の仮面をかぶれるようになってきたと思う。

自然に、無理することなく。


この本を読みながら、幼い頃、思春期、恋愛遍歴、結婚、現在、様々な年代の自分を思い出した。

いつから外向型の仮面を被っていたのだろうかとか、

外向型に憧れがあったから夫と結婚したのだろうかとか考えていた。

本書を読んで、内向型であることを強く自覚し、自分の機嫌を取るのは、内向的なことをしている時だと改めて気づいた。

基本的に本を読んだり、映画を見たり、美術館に行ったりすることが好きだ。

時々刺激が欲しい時もあるので、そういう時に夫の勢いを活用している。

外向型の仮面を被れる自分に対しては、見事習得できた!と褒めることにしよう。


内向型の自分にも何か才能が開花する時が来るんじゃないかという期待。

逆に、自分が内向型人間らしく、内向型人間センサーを働かせて、人材を発掘できたら良いなぁという期待も。

この本を読み、より人間に興味を持てた。



少し本書の内容とずれるが

「人間に興味を持つこと」

最近の私の課題である。

思い返すと、新しい人に出会った時、フィーリングが合わないとか、2回目に会った際なんか印象が変わってしまったなぁという不満で興味を失うことがあった。

しかし、最初に自分で決めつけてはいけない。

あらゆる人に多面性があり、面白い発見があるかもしれないという期待を持って、人間と接したいと思う。

せっかくの面白い人材が埋もれてしまわないように。

フェミニズムについて考える



は今、フェミニズムの考え方に興味を持っている。


フェミニズムとは
社会・経済・政治などあらゆる側面において、女性が権利を獲得し、自由に選択できる社会を目指すための思想と、それに伴う動きを指す。


高校生の頃差別問題について考える授業があり
「永遠に無くならないものは女性差別だ」という言葉に衝撃を受けた記憶がある。
現在、差別を自覚するようなシーンは比較的少ない環境にいる(女性社会の中で生きているから)。
それでも夫との会話、他のコミュニティ、何らかの映画やドラマの中の男性の発言などから違和感を感じることもある。


私はフェミニズムを掲げて発言する女性に嫌悪感があった。
討論番組で白熱して喋るフェミニスト達を見て、理性的でなく感情でぶつけていると判断したからだ。
しかし真のフェミニストたちの発言は、聞くと理論的である。
議論する内容を明確にして進めていけば、感情をヒートアップさせず、討論できたのではないか。
議論した相手が悪かったのかなとも思ってしまった。


フェミニズムに関する書物を読むこともしなかった私の背中を押してくれたのは、ブックコミュニティにいるある女性のブログ記事だった。
「第二の性」シモーヌ・ド・ボーヴォワール
私は、第一巻の事実と神話を手に取ることにした。
読んでいても中々内容が頭に入ってこなかった。
私にとって神話はあまりにも架空な物語であり、読んだとて、実感が何も湧かなかった。
早々に本を閉じ、もう少しわかりやすい本を読むことにした。


「読書する女たち」
フェミニズムの名著は私の人生をどう変えたのか



ステファニー・スタール
アメリカ 作家 


自分の思想をとてもわかりやすく描いている。
読者は追体験するような感覚に引き込まれる。(子育て、読書体験、大学の講義)
彼女の受けた大学の講義で、教授が第二の性について否定的な意見を述べていた回があった。
彼女自身はボーヴォワールの思想に惹かれており、尊敬しているようだった。
その時は、例え先生や周りの生徒たちが否定しようとも、自分の思想は変わらないということを、淡々と論じていた。


教授のボーヴォワールに対する意見
彼女自身の人生は女性性という前提から離れていくプロセスでした。彼女は実存主義者であり、社会変革の主体として個人を見ていたのです。」



差別的発言になりそうだが、知識、論理的な対話で男性を負かせる(納得させる)女性の姿は、女性的でないと思われるのかもしれない。
私の周りにいる女性たちは男性に納得できるような話し方をするものが少ない。
いつも丸め込まれてしまう。
もしくはちゃんと聞いてもらえていない。
ボーヴォワールは女性の中でもマイノリティな存在であり、全女性の代表者ではない。

性差別に気づいた者にとっては、彼女に言論に勇気付けられるだろうが、大半の女性はそこまで深く考えていないのだろう。
かくいう私も、考えていない。


本書を読み通しても私はまだよくわからない。
女性であることに窮屈を感じることも多々あるが、
女性であることに甘んじてる部分もあることに気づいている。
やりたくない仕事はやらない。
それは男性の仕事だという態度。(軍人、土木建築など)
もちろん逆も。
それは女の仕事。(看護師、介護士、家事労働など)
最近は少数ながらもそれらの職に就く者もいるが、やはり積極的には選ばない。
政治においても日本は男女比が酷い。
私は政治をやりたいと思えない。


フェミニズムを推し進めると、フェミニズムに苦しむ女性も増えてくるとも言われる。
女性が選択するものが、依然として女性の多い環境であるという例はたくさんある。
男性と同じことをしたいと思う女性ばかりではないのも事実。
男女平等の延長で、女性も徴兵されることがあれば、苦しすぎる。
(そもそも徴兵のない世の中であって欲しいが)


最初にあげたフェミニズムの定義については、賛成である。
このような運動を推し進め、より女性の選択の幅が広がれば良いと思う。
ただ、自分自身の思想はまだ、男性に甘んじてるところがあるのは否定しない。
例え選択が狭まっても安心安全を求めてしまう。


私のこの傾向が変わる時は来るのか?
変わりつつある自覚はある。
今回本を読もうとしたきっかけも、夫に打ち勝つためという意識が芽生えたから。
家事分担だったり、休暇の過ごし方、TVチャンネルの選択権など、自分の権利について考える必要があった。
とても小さなことだけど、割と真剣である。



今回あげた2つの本には、歴史的に見た女性の権利の有無なども書かれており、昔の女性がいかに生きづらかったか、今、こんなにも改善されているのかと言う驚きが感じられた。
また、フェミニズムを掲げる女性が、感情的ではなく、いかに知的で、理論的に男女の不平等さに異論を唱えているかがわかり、感心した。


自分も知的な女性になりてぇ!!って気持ちにさせられた。
女性作家の書く本を積極的に読みたい!!!
フェミニズムについて考えるのはひとまず休憩する。

ハマトンの知的生活



フクロウの絵が表紙になってる本を進んで読もうと思い借りてみた。
フィリップ・ギルバート・ハマトン
イギリス 1834-1894年 画家・随筆家



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この本は今までも何度か出版されている。
それぞれの本によって訳も異なるし、削られている章などもあるようだ。
特に気になっていた夫婦の関係についての章は残念ながらこの本には載っていなかった。
しかし、評判通り、確かに!と頷ける内容の多い、知的生活の数々。
以下、心を打たれた内容を抜粋する。


教養と知的エネルギーについて
記憶にもつ拒否力、拒絶力を尊重すること
覚えるべきものは覚え、忘れるべきものは忘れるというまことに重宝な記憶力、言うなれば選別記憶に恵まれているのかもしれない


時間の作り方、使い方 
読書の技術について
自分にとって重要ではないものはすべて飛ばし、本当に必要なものは絶対に落とさないこと。


他にも素敵な言葉はたくさん出てくる。
何かにつまづいていたりどんな過ごし方をすれば良いのかわからなくなった時に、本書の必要な章を読み返すと勇気付けられる気がする。


この本を読んだ後、私はどうしても気になって、過去に刊行された本を借りて読むことにした。
削られた章の内容を確認するために。



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男性側から見た妻に求めることがみっちり書かれており、確かに女性蔑視だ!って申し立てたくなる内容ではあったが、今後うまく夫と付き合うために、役立ちそうなこともいくつか書かれていた。


知的生活をする人 結婚に関して取るべき道は2つ。
子供を儲け、家事万端をいろうなくやり、真心を持って夫を愛し、夫の仕事に嫉妬することのないような質朴で忠実な女性。


基本的には後者を目指していると思う。


結婚生活における理想的な知的生活というのは、自分が一番関心のある、興味の尽きない問題について、常に夫婦で会話を交わすことができること。


日によるかなって感じ。
飽きずによく語りきかしてくれるけど、私の機嫌が悪い時は一歳夫の話が頭に入ってこない。


女性は科学的好奇心が欠けている。


図星。
理系を掲げてるけど、身の回りの役に立つ生物系に興味があるだけ。
今夫の興味のある量子力学の話はわからない。



夫婦関係以外のにも、女性に向けての手紙がちゃんとある。


同性とは付き合いづらいことがわかった高度の教養ある婦人へ


知的な女性ならうんざりしてしまって同性との会話を避けるよりも、女性の会話の質を向上させるような努力をした方がよい。


手はじめに良質の文学を推薦することから始め、次第に、注意を払うべきものに対して関心を目覚めさせていってはどうでしょうか。
教養ある女性がすべて同性の付き合いから締め出され、知的な人間には絶対必要な会話をわれわれ男性にだけ頼ってしまうというのは嘆かわしいことです。


私は、自分は女性に差別的だし、女性を下に見ていると言う自覚がある。
自分の認識の変容を試みようと、意識的にそのような感情に疑問を投げかけ、考える取り組みを行っている。
女性の愚痴ばかりの会話の中に入ることに意味を見出せなかったが、30代に入ってから、案外女子トークも悪くないな、なんて感じることが増えた。
「女子トークなう」スイッチを入れて自分も愚痴モードになれば楽しいのだ。


私は女子ばかりの環境に長くいる。(中学から女子校だった)
男性のことは夫の事例しか知らない。
でも、本を読むことによって、世の男性が考えることを少し知ることができる。
今まで、つまらなくて、居場所がない感覚に陥っていたが、こうして本を通じて、様々な思想に触れることで、案外、人生悪くないなと思えてきた。


本は、知的な女性の存在にも気づかせてくれる。
次回の記事に触れようと思っているボーヴォワールはまさに知的な女性だ。
私がいかに知的でないかに気付かされる。
強い、確固とした思想は、このようなものなのかと関心する。


こうした知的な本に出会えるのも、ブックコミュニティの魅力。
自分の知的レベルが上がれば良いなと日々努力している。