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イェール大学人気講義 天才 〜その「隠れた習慣」を解き明かす






誰でも一度、「天才」について理解したいと思ったことがあると思います。

そして自分にも「天才」の要素がないものか考えたこともあるでしょう。


この本はイェール大学名誉教授、クレイグ・ライトの「天才」について授業を書籍化したものです。

クレイグ先生はイーストマン音楽院で音楽学士号を取得しているそうです。


この本では天才の性質と、どうすればそれを養えるのかを、様々な天才の功績、文献などを見ながら考察しています。


14つのレッスン

仕事への姿勢(Lesson1)  

立ち直る力(Lesson2) 

独創性(Lesson3)  

子どものような想像力(Lesson4)  

飽くなき好奇心(Lesson5)  

情熱(Lesson6)  

クリエイティブな不適応(Lesson7)  

反逆精神(Lesson8)  

越境思考(Lesson9)  

通常とは正反対の行動(Lesson10)  

準備(Lesson11)  

執念(Lesson12)  

気晴らし(Lesson13)  

集中(Lesson14)



先生自身の自虐ネタもあり、読んでいて面白いです。

先生曰く、「天才は、天才の行動をすることに囚われすぎていて、自分の創造的なアウトプットの原因に思い至っていないように見える」

「私のような凡人にしか、天才を説明する試みができないのだろう。」


序文で明確に示しているように、この本を読んでも私達は天才になれません。

しかし、「人生において何が大切なのか、いかにクリエイティブになるかを考えるきっかけになるだろう」と書かれています。



まず、物事を考察するために大切なことは、言葉の定義づけです。


<天才とは何か?>

「天才」を簡単には定義づけられないそうです。

文化、時代ごとに変わっていくからです。

この本での「天才の定義」は

天才とは、精神力が並外れていて、その人独自の業績や見解が、文化や時代を超えて、良くも悪くも社会を大きく変革する人を指す。


<天才を測る指標>

一時期IQテストが流行っていた時期もありますが、時代によって変化され、EQを見ろとか言われることも増えました。

先生はMQという指標を打ち立てました。

MQ Many Traits Quotient (多重特性指数)

知性や好奇心、立ち直る力、忍耐力、リスクの受け入れ力、自信、努力する力などがあります。


<女性>

この本のすごいところは、天才と言われる女性が何故少ないのかというところを掘り下げている点だと思います。

想像するといくつか思いつきますが、歴史を見てもやはり女性差別が強く、女性は家にいて子供を作るものであること、男性より優れてはならないという風潮がありました。

また、物理的に、女性は創作活動に捻出する時間が少ないとも言われています。

家庭での家事の時間であったり、出産、子育てなどに使われる時間もあり、確かに男性より自分に使える時間が少ないように思えます。

また、ある文献で、天才とみなせる女性1人につき、男性は天才が10人数えられると主張しています。

簡略化して考えると女性10人のうち9人ジェンダーバイアスによって天才になる可能性を潰されているということになります。


現代、ジェンダーギャップを埋めるために、様々な世論が飛び交っています。

明らかに昔よりはギャップが埋められていると思いますが、やはりまだまだです。


私自身、無意識に、自分自身を一歩下げ、過小評価してしまっていることに気付きました。

この本で、無意識の女性側が持っている女性差別に気づくことができ、もっと多くの偉大な女性を知りたいと強く思うようになりました。


<神童は天才になり得ない?!>

若いうちから天才だった人は誰でしょうか。

代表的な天才といえばモーツァルト。

しかし、思いつく天才達は、30歳をすぎてから天才的な創造力を発揮できています。

(ゴッホ、セザンヌ、アインシュタイン)


神童の幻想の問題点は、良いことばかりが膨らんで、それでいっぱいになり、ルールにこだわって、完璧以外許容できなくなり、一つのことにしか注意が向かず、支配的な母や父――いわゆる過保護な親の言うことでも、まともに聞きすぎることである。

いわゆる完璧主義になってしまいがちなのが神童。



不幸な子供時代を過ごすことより悪いことが一つだけある。それは幸せすぎる子供時代を過ごすことだ。

詩人 ディラントマス

何もかもが揃っていて,何不自由ない生活を送っていた天才はいるでしょうか?

何らかの不幸があるのが天才になる条件かもしれないですね。しかも若いうちに。


この章を読み、実の子を神童として崇めてはいけないと心に刻みました。



<子どものように世界を想像してみよう>

この章では主に小説家の天才について取り上げられています。最近の作家で言えばやはりハリーポッターを産んだJ・Kローリング、彼女のことも書かれています。

天才とは自分の意思で取り戻した子ども時代にすぎない

シャルル・ボードレール


パブロピカソの話も面白かったです。


社会に出て、完全に遊ぶということが頭に抜け、ちゃんとしなくちゃという意識ばかりが芽生えていました。

その中で最近は仕事も落ち着き、悩んでいたことも一回り二回りしたせいか、遊んでやるぞという気持ちになってきたと思います。

天才にはなれないけど子ども時代のような楽しい大人の遊び方をこれからたくさん見つけたいと思います。



<強い学習意欲を持て>

好奇心を持って、色々知りたいという気持ちを持って調べ尽くすこと。

好奇心の強い者としてレオナルド・ダヴィンチのことが紹介されています。


オプラ・ウィンフリーの紹介も興味深かったです。

彼女はアメリカで有名なTVのレポーターやトークショーのホストなどをして、メディアを通してたくさんの方に影響を与えている人です。本の虫だったと紹介されています。


また、テスラやTwitterのCEO、イーロンマスクも本の虫だったそうです。


<精神病と天才>

すごい人ってどこか変だったり、医学的に見たら精神病を患っている人が多いイメージがあります。特に、芸術家(小説家や音楽家なども)は統合失調症だったり、自閉症だったり、アスペルガーだったり様々な障害を持っている人を思い浮かべることができます。(ゴッホ、ベートーヴェン、草間彌生などが例に上がっています。)


<天才は短命?!>

私たちのイメージは時々間違っていることもあります。天才は短命である(モーツァルト、ロック界の天才、ゴッホなど)というイメージもあるが、実際長生きな天才も結構いることがわかります。

上につながりますが精神病でない天才もたくさんいます。

比較的天才は楽観主義者であることも多く、何かができそうだから行動が始まります。

悲観主義者は失敗しそうな理由ばかり挙げてしまいます。(マーク・ザッカーバーグの言葉より)

楽観的な人は長生きする人が多いです。


<天才は破壊的>

天才の行動は、時として周りを傷つけるものです。

それは女性関係であったり、親族であったり、同僚や友達であったり。

しかし、案外周りの人は様々な出来事を受け入れてしまえたりします。


私たちは善行をいつまでも覚えていて、破壊を忘れる。この集団での健忘能力こそが、進歩を可能にする進化上の利点なのかもしれない。人は革新的なクソ野郎に耐えられるし、それによって生じる人や組織の破壊も容認する。なぜなら、総体的にそのほうが、長い目で見て私たちの利益になるからだ。



<ひらめきの瞬間>

クリエイティブな発想に重要なのがよく寝ること。

・寝起きの20分を活用する(すぐスマホをいじらない)

・乗り物に乗ってぼんやりする

この章では天才が無意識に行っている様々な方法が書かれています。案外自分にも当てはまるのは乗り物に乗っている時。大抵ブログ記事は、移動中に書いています。





他にもたくさんの内容が詰まっている本です。


この本を読むメリット

・天才になり得なくても天才の行動を真似つことで、今後の仕事、事業の展開に繋がる知恵を得られる。

何かクリエイティブなことをしてこの世を変えたいけど天才じゃないと自覚している人におすすめの一冊です。


もちろん自分が天才なんじゃないかと思い込んでいる方にもおすすめです。

おそらく、本を読み終わる頃には天才じゃなくて良かったという感想を持つことでしょう。




このブログを立ち上げて、ようやく1冊紹介できました。

1度読んで感動したものを、アウトプットするために2回目を読むなんてとても贅沢な時間だなぁなんて感じました。

キャンペーンの時だけAmazonのKindle Unlimitedに登録するのですが、内容があまりない本も多い中、こういう刺激的な本が上がってきます。

この本は、ものすごく興味深く、未来の私たちに確実に影響を与える内容だと思います。

おすすめです。